社会不適強者

ゴキブリより黒いブラック企業に入社したら死神が見えた

人生のドン底④(NSCの面接)

どうも。鬱なる20卒です。

「そろそろ名前もうちょっとカッコいいやつに変えたいなぁ…」とか思ってます。

 

阪神めっちゃ強いですね。今年はリーグ優勝あるんじゃないかと期待してしまいます。

無職で転職活動もロクにしていないのに、なぜ自分よりも高額な年俸を稼いでいる野球選手なんか応援しているのでしょう。アホなんですかね。

 

 

(前回の記事の続き)

※私のこれまでの人生を振り返って書いています。過去の内容も含め、ほんの暇つぶしに読んで頂ければ幸いです。

 

高校を中退した私はバイト仲間の誘いで演劇の舞台に出演しました。そこで作家からプロを目指すよう提案を受けたんですね。周囲や母親からの勧めもあり、私は吉○興業のタレント養成学校への入校を決意したわけです。

 

 

というわけで早速願書を書いた。

「お笑いの学校」と言えども、入学に必要な手続きは至って普通の専門学校である。

名前・住所・学歴・職歴・持っている資格。おまけに「この養成所をどこで知りましたか(記号選択)」など、拍子抜けするほどフッツーの申込書である。

 

私は何一つボケることなく必要事項を記入して郵送した。

書類に不備がなければ、後日面接の日程が返送されてくる。

 

数日後、事情をまだ話していなかった妹から「なんか…ヨ○モトから手紙来てたで」と言われた。面接の詳細が届いたようだ。

 

日程は1ヶ月後。笑いの本場大阪なんばの吉○本社で行うとのこと。どうやら個人面接ではなく30人程での集団面接という形で行うらしい。

 

集団面接ということは他の入校希望者と鉢合わせになるということ。私は「お笑いの養成所に入るぐらいの人間なんやから、相当面白い奴らに違いない。」と思った。負けず嫌いであった私はそこから1ヶ月の間ありとあらゆるネタ番組を漁り、自分の中での「面白い」を研究し続けた。学歴も中卒である以上、絶対に負けたくない意志があった。

 

来たる面接当日。

当時住んでいた神戸から大阪へは電車で1時間30分ほど。

初めて1人で大阪へ行く緊張、未来のライバル達との遭遇、私は心を奮わせながら会場へ向かった。

 

会場である吉○本社の前には、すでに面接待ちの行列が出来ていた。私も倣って列に並んだ。

 

私はこの時、悪い意味で期待を裏切られてしまう。

列に並んでいるのは、なんてことはない「ただの元気な大学生のような人達」の集まりだったのだ。

皆それぞれ「自分は面白いねんぞ」と自己主張したいのだろう、わざとらしいオーバーなテンションで雑談をしている。会話の内容も「学生の笑い」という感じだった。

 

「(なんやこいつら。明るいだけで全然おもんないやん)」

そう思っていると、私の後ろに並んでいた奴が声をかけてきた。

 

『こんちわぁ。君も面接受けるんすよね?』

「はいそうっすけど」

『俺福岡から1人で来たんすよー。君は関西?

 

相手は福岡から来た19歳の山崎(仮名)という男だった。芸人になるために大学を中退して養成所を志願したらしい。

 

私「大学中退したんすか。もう、全賭けやん」

山崎『いや俺、昔から「お前マジで面白い!芸人なれるって!笑」って友達全員に言われてたんよー!やっぱ俺には芸人しかないと思った!笑』

 

私「……誰々に憧れてる的なのは、あるん?」

山崎『俺、ノンスタイルさんと銀シャリさん尊敬しててさ!笑 マジで天才だと思う!笑

 

私はこの会話だけでこの山崎という男が芸人として成功することはないと悟った。

しかしまぁ驚いたことに、お笑いの養成所に入るような人間など実際にはこんなもんである。

周りの会話に耳をすませると、

『クラスで1番面白いって言われて〜』

『大学の大喜利同好会で優勝して〜』

ブラマヨさんみたいになりたくて〜』

『高校生漫才大会の○回戦まで進んで〜』

などなど、生きてて悲しくなるような発言が飛び交っている。

私は拍子抜けしてしまった。

 

芸人を目指す人間はもっと、

 

「自分が一番面白いに決まってる。

自分以外は凡人。凡人と話すことなど何も無い」

 

……というぐらい尖りに尖った姿勢たるべきだと私は思っていた。

ライバルと必要以上に馴れ合うのは手の内を晒すようなもの。自分以外の発言では絶対に笑わないし、面白くない人間とは関わらない、そう在るべきだと。

少なくとも私はそれ以外の振る舞い方を知らなかった。

 

山崎『いやー面接緊張する〜〜!何かギャグとかさせられるんかな?俺モノボケと変顔やったら得意やねん!』

 

山崎の話をガン無視している内に列はかなり前進していた。それに気づくと同時に、職員らしき男がやってきた。

職員『はい!それでは次の30名入って下さーい!』

私達は面接室に案内された。

 

部屋は学校の教室のような広さで、壁はダンス教室とかにあるような全面が鏡になっているタイプのアレだった。部屋にはパイプ椅子が30台間隔を開けずに置いてあり、私達はそこに座らされた。

面接官は4,5人。皆首から社員証のようなものを下げている。テレビで観たことある人間でなければ、私に名刺を渡してきた作家でもなかった。ただの養成所職員とアシスタント役の先輩芸人である。

 

面接官『それでは1人5分ずつ、名前と住所、志望した理由を話して下さい。まず、そちらの方から。』

 

面接官が語ったのはそれだけだった。

前列に座っていた者から順に面接は始まった。

 

『は、はい!僕は昔からお笑いが好きで、好きな芸人は○○さんです!特技は〜云々』

 

皆当たり障りのない志願理由を述べていく。

それに対して面接官が特に質問をするわけでもなく、あっさりと流れ作業のように『はい、それでは次の方。』と進んでいく。

 

これは後で知ったことだが、なんとこの面接は「一切ボケてはいけない」のである。養成所は毎年500人近くの人間が入校するため、中には"ホンマに頭おかしいやつ"が一定数存在する。そういった人間は入ってから警察沙汰を起こしたりするケースがよくあることから、入校前に面接で弾くのだという。つまり、これは『頭おかしいかどうか』を判別するための面接であり、『一切ボケずに真面目に話す』ことが正解なのだ。

椅子同士の間隔が極端に狭いのも、"頭おかしさん"が無茶なアピールに走ることを防ぐための対応策なのだった。

 

そうとは知らず、中には1発ギャグを披露したり、持ってきたフリップでネタを行う者も何人かいた。

恥ずかしながら当時の私もそんなことは露知らず、かなり痛い自己紹介をしてしまった。

 

「はい。僕は昔から他人と違う感性を持っており、

他人が気づかへんような事にも目を向けてきました。

……例えば漢字の『一』『十』『百』『千』『万』。

これ、順番おかしいと思いませんか?

『一』『十』は分かります。線1本足しただけですから。

でも、よう見て下さい。その次『百』なんですよ。いやいやいや、おかしいやろと。どういう神経しとんねんと。

どう考えてもその次『万』の方がまだ分かるでしょ。

ほいでね、見てください。この『万』にちょろっと線足したらね、ほら、『百』になるんです。漢字考えた奴、順番まちごうとるんですよ!」

 

今でもしっかり覚えている。

この時の私は完全に"頭おかしさん"だ。

「俺は他人と違う感性持ってます」的なアピールがしたくて、移動中にわざわざ考えた"うんちく"を話したのだった。

今改めて思い出しても、痛い上にしょうもなさすぎて歯痛すら覚えてしまう。

 

面接官『…はい、なるほど。では次の方。』

私は合格を確信した表情で面接を終えた。

 

全員の面接が終わると、私達は入ってきた入り口とは別の扉から外へ案内された。すでに次の30人が控えているためである。

 

職員『えー、面接は以上になります。合否は追って郵送しますので。それでは気を付けてお帰り下さい』

 

こうして面接は終わった。

参加者はそのままスっと帰る者もおれば、

ついでに先輩芸人のライブ観覧へ行く者、

『俺ツッコミできる相方探してんねんけどちょっと喫茶店でも行かん?』と食事に誘う者もいた。

 

山崎『いやー緊張したなぁ!』

先ほどの山崎が話しかけてきた。

山崎『俺緊張で全部飛んでもてマジメに語ってしもたわ〜!』

私「この先何百人って人の前でネタしていくのに、あんなんでビビっとったら終わりやて」

山崎『どうしよー…絶対おもんない奴やと思われたし』

 

山崎とそんな感じの会話をしていると、

2人の男が近づいてきた。

 

長身の男『おす。自分、やるやん。感心してもうたわ』

山崎『…あ、さっきネタやってた人達や』

 

男達は先ほどの面接でネタを披露した"頭おかしさん"の1組だった。コンビで揃って応募したらしく、長身のツッコミ担当の男は横内といい、小太りでボケ役の男は小西と名乗った。

 

横内『自分だけやん、面接官に「なるほど…」って言わせたの。』

小西『ホンマホンマ。言わせた時点でキミの勝ちや』

山崎『でもアンタらの漫才もめっちゃ完成度高かったですよ!絶対素人ちゃうでしょ!』

 

私達は立ち話もアレなので、近くのファミレスに入った。

(私は早速馴れ合いに巻き込まれた自分を情けなく思った)

 

横内『へぇ〜…そうなんや。大学中退と高校中退かぁ』

小西『若くてええなぁ。俺らなんか今年26やで』

 

横内(長身)と小西(小太り)はお互い高校の同級生で、大学時代にアマチュアでコンビを組んで地方のコンテスト等にも出場していたらしい。

 

山崎『え、26なんすか!?じゃあ歳上っすね』

横内『全然タメ語でええって!同期やねんから。』

 

"同期"。

まだ面接の合否も分からないのに、私はこの同期という言葉を聞いて改めて「芸人の世界へ入る」ということを実感した。

 

小西『2人はアレなん、中退コンビ組むん?』

私「組まん組まん、たまたま面接被っただけや。」

山崎『俺1人で福岡から来たから、相方できるか不安や…』

横内『最初は相方探す授業とかあるらしいで』

小西『俺らみたいにコンビで来る方が珍しいから大丈夫やって』

 

彼らの言う通り、養成所は大半の人間が1人で入校してくる。4月から授業が始まるが最初の2ヶ月間は『相方探しの会』が設けられており、生徒はそこで3人以上ペアを変えてコンビとしての感触を確かめるという。

 

横内『いやー、早速知り合いできてよかったわ』

小西『ホンマそれ。俺ら歳結構いっとるから浮くんちゃうかーって言うててん』

山崎『みんな面接受かっとったらええなあ』

横内『けど今年は高校生漫才大会の準優勝者も入ってくるらしいで』

山崎『え〜〜!きっついわそれ〜〜』

 

本当に普通の、まるで大学入学前の学生のような会話をしてその日は解散した。

小西『ほなまた4月に会おなー!』

山崎『相方見つからんかったら入れてなー!』

私達は一応お互いの連絡先を交換し合った。

 

こうして初めて同期との顔合わせをした。

私は正直「大したことないな」という安堵の心境だった。横内と小西が披露した漫才も、よくある『元気な大学生のお笑い』という印象であった。それに参加者の大半が『普通の志望動機』であったことから、何とも言えない勝ち誇った思いに浸っていた。(結果的にその普通の志望動機が正解だったのだが)

 

ただ、横内の口から出た『高校生漫才大会の準優勝者』という言葉が胸に引っかかる。一体どれほどの奴なのか。自分よりも面白いのだろうか。

私は言い知れぬ不安を感じ、帰りにTSUTAYA天竺鼠のコントDVDを借りて帰った。

 

帰宅後、今日1日のことをゆっくり思い出す。

 

『俺ノンスタイルさんを尊敬してる!』

ブラマヨみたいになりたくて!』

 

お笑いが世間に完全に浸透した今の時代、

他人と同じスタイルでは通用しない。

例えばブラマヨに憧れてブラマヨと似たようなスタイルを採ったとして、その時点でブラマヨには勝てない。もっと言うと、それなら世間はブラマヨを選ぶ。

そんなことも気づかずに大声で『○○さんみたいになりたくて!』と口にする時点で、芸人として成功するわけがない。

 

今日の面接で知ったのは、そんな浅はかな信念で門を叩いている同期が数多くいたということ。

私はお笑いをやる1つの軸として、『誰かが既に手をつけたお笑いはしない』という目標を据えた。

 

そんな今となってはクソ痛いことを真剣に考えながら、面接の合否を待つのであった。

 

(続きはまた別で書きます。)

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当時、めっちゃ尖ってたんですよ。

本当に自分以外はしょうもない大学生レベルの笑いだと思ってましたし、自分がやることに間違いは何一つないと信じてました。

 

なので色々思い出して書こうにも、あまりの黒歴史の多さに指がなかなか動きません。

次の更新はいつになるのでしょうか。

 

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今日頂いたメッセージです。

ガミガミガーミガミッて何すかね…?

早速忘れてるようです。

 

勘と本能、取り戻したところで元が無能なので何も変わりません。ビニール傘が傘になるぐらいの変化です。社会がどれだけ濡れないことを要求してきても、どこか濡らしてしまいます。雨合羽には勝てません。

 

でもこうしてメッセージをもらえるだけでも嬉しいです、ホント。

冒頭で書いた通りSNS上ですら人と関わることがほとんどないので、「誰かがわざわざ言葉を送ってくれた」という事実だけで十分励まされます。

 

長くなりましたが今回は以上です。

今日は古着屋でも巡ろうかなと思います。

最後までページを離れず何度もスクロールして文章を読んで頂きありがとうございました。